期間限定『ウソ恋ごっこ』
一般的な教室より少し狭いスペースの生徒会室は、教室というよりも、まるでどっかの会社の会議室みたいな印象だ。


各学年の年間スケジュール表が貼られている掲示板の手前に、ノートパソコンやプリンターが置かれた白い長テーブルが見える。


その席に座る伊勢谷先輩を見たあたしのテンションは、一気に爆上がりした。


うわあ! 伊勢谷先輩だー!


遠く離れた壇上とか、大勢の人垣越しとかじゃない。伊勢谷先輩がこんな目の前で、しかもニコニコしてあたしを見ているー!


お願い、夢なら覚めないで!


「減点ね」


浮かれて飛び上がりそうになりながら先輩をガン見していたら、低い声が聞こえて我に返った。


見れば伊勢谷先輩の隣に、さも不機嫌そうな顔の折原先輩が座ってる。


あ、折原先輩もいたんだ。伊勢谷先輩しか目に入ってなくて気がつかなかった。
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