期間限定『ウソ恋ごっこ』
伊勢谷先輩がひょいと肩をすくめて説明を始めた。


「実はね、俺のお弁当係の件でキミを呼び出したんだ」


ポワーっと浮かれている頭に『お弁当係』という単語が飛び込んできて、ちょっとだけ冷静さを取り戻した。


あぁ、先輩のお母さんが旅行中の一週間、先輩にお弁当を作って届ける人を募集してるって話ね?


それがあたしになんの関係があるんだろう?


「立候補してくれた女の子たちの中から、誰かひとりを選ぶことにしたんだけど、その候補者の中に美空ちゃんも入ってるんだよ」


「……えぇー⁉︎」


思いがけない話の展開に、あたしは素っ頓狂な声を張り上げた。


あたしが候補者のひとり⁉︎


なんで⁉︎ どうして?


わけがわからず目を白黒させて言葉を失っているあたしを見て、伊勢谷先輩が面白そうに笑う。


「ずいぶん驚いてるみたいだね」


「は、はい。あの、どうしてあたしが?」


「彬からの推薦だよ」


「へ?」
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