期間限定『ウソ恋ごっこ』
「ということで、これから佐伯さんの審査をするから。得意料理は?」


「え?」


急に話を振られて身を固くするあたしに、折原先輩が挑戦的な目で質問してきた。


「あなたは、どんなお弁当を司に作ってあげるつもりなの?」


い、いえ。あたしは先輩にお弁当作ってあげるつもりも、予定も、可能性すらもありません。


だってお料理、作れないんだもん。


……とはさすがに言い辛くて言葉を濁していると、折原先輩がさらに畳みかけてくる。


「早く答えなさいよ。こんなの簡単な質問でしょ?」


「あ、あのう。あたし、料理は、その……」


「なによ?」


「実は……そのぅ……」


ああぁ、やっぱり言えないーー!!


『料理がまったくできない女の子なんです』なんて、伊勢谷先輩の前では絶対に言えない!


あたしにだってプライドがあるんだよー!
< 64 / 408 >

この作品をシェア

pagetop