期間限定『ウソ恋ごっこ』
これで一件落着かとホッとした矢先に、近藤先輩が横から口を挟んできて、あたしはガックリした。


もう、なんなんですか先輩。そっちこそせっかく終わりかけた話を、勝手にまた進めないでください!


「チビを不合格にする前に、俺からひとつだけ質問していいか?」


「ダメよ! 審査員長のあたしが不合格って決めたんだから!」


「折原には聞いてない。俺は司に聞いてるんだ」


文句をつける折原先輩にピシャリと言って、近藤先輩は伊勢谷先輩の方を向いた。


「俺は審査員なんだろ? なら質問する権利あるよな?」


「もちろん。どうぞどうぞ」


伊勢谷先輩がうなずいたのを見て、折原先輩も頰を膨らませながらしぶしぶ黙り込んだ。


改めて近藤先輩があたしと向き合う。


窓から入り込んだ光を反射して、先輩の黒い髪と瞳が艶やかに輝いた。目鼻立ちはこんなに男っぽいのにすごく綺麗だ。


ついドキッとして先輩の端正な顔に見入っていたら、目の前の形のよい唇が意外な言葉を発した。


「お前は、司のどこに惹かれた?」
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