期間限定『ウソ恋ごっこ』
あたしは昔から、いわゆる一般庶民だった。


格別頭がいいわけでもなく、特にスポーツができるわけでもなく、芸術的な才能があるわけでもない。


そんなあたしみたいな凡人に、学芸会で与えられる役といえばご想像の通り。


その他大勢の代表格である村人Ａ。もしくは森の木や雑草。


主役の女の子の周りで、ほとんど黙ったまま立ってる役ばかりだった。


ただ、小学校最後の学芸会で『人魚姫』をやったときの出来事は、今でもよく覚えてる。


海の住人の昆布の役だったんだけど、ちょっとだけセリフがあって、大事なラストシーンで舞台に登場する役をもらえた。


両親も見に来てくれるって約束してて、あたしも楽しみにしてた。


ところが当日になって、急に主役の女の子が『ラストシーンで紙吹雪がほしい』って言い出したんだ。
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