期間限定『ウソ恋ごっこ』
「伊勢谷先輩はみんなを笑顔にしてくれる、特別なお星様です。あたしは、そんな先輩をもっと輝かせる紙吹雪になって、みんなを幸せにするお手伝いがしたいんです。心からそう願っています」


一気にぜんぶしゃべり終わって、あたしはふうっと肩を下ろして息をついた。


あ、思い出したら、なんかちょっと涙出てきちゃった。あの出来事はけっこうなトラウマだから。


それはともかく、あたしの想いはきちんと伝えられたかな?


心配になって伊勢谷先輩の様子を窺ったら、先輩はあたしの顔をじっと見つめて、眉ひとつ動かさない。


この反応の薄さは、やっぱり伝わらなかったか……と残念に思っていたら、おもむろに先輩がイスから立ち上がって言った。


「合格」


「え?」


「合格だよ。美空ちゃん」


先輩はゆっくりと近づいてきて、ポカンとしているあたしの前に立ち、両肩にポンと手を乗せた。


「俺のお弁当係は美空ちゃんに決定だよ。よろしくね」


「……ええぇ⁉︎」


そんなバカな! いったいなにがどうなってんの⁉


と疑問を叫ぶヒマもなく、とつぜん伊勢谷先輩にフワリと抱きしめられて息が止まった。


ビックリして頭の中が真っ白に染まる。


「せ、せ、せんぱ……?」


動揺して口がうまく回らない。首から上全体が燃えるみたいにカーッと熱くなった。
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