期間限定『ウソ恋ごっこ』
想定内と想定外
よく晴れた翌朝。


自転車を置いたあたしは、生徒玄関に向かってゆっくりと歩きながら、口に手を当てて大きなアクビをした。


白鳥学園の朝の登校風景はとても賑やか。正門前にはたくさんの自転車や、スクールバスや、自家用車でごった返している。


五月の日差しに照らされた色とりどりの花々が、緩やかな風に揺れている花壇の横を通りながら、あたしはまたひとつアクビをした。


昨日の夜はなかなか寝つけなかったな。


いろいろ刺激的な出来事がありすぎて、脳が興奮してたんだと思う。


嬉しかったこと。怖かったこと。不安なことの感情が目まぐるしく回転して大変だった。


「あ」


背後からそんな声が聞こえて、なんとなく振り向いたあたしも同じように「あ!」と声を上げた。


なんということでしょう!


「い、伊勢谷先輩!」


いつものファングループに囲まれた伊勢谷先輩が、あたしに向かって笑顔で手を振ってる!
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