期間限定『ウソ恋ごっこ』
男の子のためにお弁当を作るなんて知れたら、根掘り葉掘り聞かれそう。お父さんにバレでもしたらもっとややこしくなるだろうし。


悶々と悩んでいると、しびれを切らした真央ちゃんが、あたしの代わりにバッサリ結論を下した。


「もう打つ手なしね。すぐにでも正直に事情を話して断ってきなさい」


残念だけど、たぶんそれが一番いいんだろうと思う。


昨日からずっと考え続けたけれど、結局いい案はなにも浮かばないことだし。


「うん、決めた! やっぱり断る!」


そうすれば伊勢谷先輩のファングループにも睨まれないだろうし、お弁当は折原先輩がちゃんと作るだろうし、これでぜんぶ解決だ。


ただ、親切心であたしを推薦してくれた近藤先輩の気持ちを思うと、ちょっと心苦しい。


近藤先輩、けっこういい人だったな……。


『お前が一生懸命に降らせた紙吹雪は、きっと綺麗だったと思う。それこそ夜空の星にも負けないくらいキラキラしてたはずだ』
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