期間限定『ウソ恋ごっこ』
「真央ちゃん、じゃあ行ってくるね」
お昼休みの時間に、お弁当を食べ終えたあたしは席から立ち上がった。
これから伊勢谷先輩に、お断りをしに行くつもりだ。
今日、先輩はいつもの中庭にいない。来週の芸術鑑賞会に招く来賓への挨拶のことで、生徒会室で担当の先生とふたりで打ち合わせしていることはリサーチ済み。
打ち合わせが終わるのを部屋の外で待って、それからちゃんと事情を説明しよう。
「ひとりで大丈夫? あたしも一緒に行こうか?」
真央ちゃんがそう申し出てくれたけれど、あたしは首を横に振った。
心細いのはたしかだけど、こんな用件で友だちと同伴するのも恥ずかしい。
「ありがとね。でもひとりで大丈夫だから」
それでもやっぱり心配そうな顔をしている真央ちゃんに見送られて、あたしは教室を出た。
一番近くの階段を上って五階にあがると、下の階の賑やかさが嘘みたいに静かになる。
静まり返った廊下をゆっくり進み、生徒会室の扉の前に立って、深呼吸した。
うー、やっぱり緊張する。単純に先輩に会うってだけでドキドキするし、頼まれごとを断るって行為自体に気が引けるし。
お昼休みの時間に、お弁当を食べ終えたあたしは席から立ち上がった。
これから伊勢谷先輩に、お断りをしに行くつもりだ。
今日、先輩はいつもの中庭にいない。来週の芸術鑑賞会に招く来賓への挨拶のことで、生徒会室で担当の先生とふたりで打ち合わせしていることはリサーチ済み。
打ち合わせが終わるのを部屋の外で待って、それからちゃんと事情を説明しよう。
「ひとりで大丈夫? あたしも一緒に行こうか?」
真央ちゃんがそう申し出てくれたけれど、あたしは首を横に振った。
心細いのはたしかだけど、こんな用件で友だちと同伴するのも恥ずかしい。
「ありがとね。でもひとりで大丈夫だから」
それでもやっぱり心配そうな顔をしている真央ちゃんに見送られて、あたしは教室を出た。
一番近くの階段を上って五階にあがると、下の階の賑やかさが嘘みたいに静かになる。
静まり返った廊下をゆっくり進み、生徒会室の扉の前に立って、深呼吸した。
うー、やっぱり緊張する。単純に先輩に会うってだけでドキドキするし、頼まれごとを断るって行為自体に気が引けるし。