期間限定『ウソ恋ごっこ』
まさかの先制攻撃だ。どうしよう。


こんな丁寧にお礼なんか言われちゃったら、ますます切り出しにくくなるよぉ。


「お弁当係、迷惑じゃなかった?」


ちょっと心配そうに先輩に聞かれて、どう答えればいいのやら。


まさか『はい。実は迷惑なんです』なんて言うわけにもいかないし。


ひたすら両目を瞬かせながら、あたしは唇をモゴモゴ動かして答えるしかなかった。


「いえ、あのぅ、べつに迷惑とか、そういうことでは」


「もしかして美空ちゃん、不思議に思ってるんじゃない? なんで俺がキミをお弁当係に指名したのかを」


そう言って微笑む先輩の顔を、あたしは見上げた。


うん。まったくその通りです。なんであたしが指名されたんだろう?


なんの面識もないあたしなんかより、折原先輩や、SP軍団の先輩たちの方がよほど頼みやすいだろうに。


そこんとこが一番わかんない。教えてもらえるなら教えてほしい。
< 91 / 408 >

この作品をシェア

pagetop