期間限定『ウソ恋ごっこ』
先輩は「いい機会だから説明させてね」と言いながら、あたしの隣のイスに腰かけて、意外なことを話し始めた。


「実を言うとね、俺って小さい頃は、すんごいイジメられっ子だったんだよ」


「ほへ!? 嘘ぉ!」


ビックリしたあたしは目を丸くして変な声を出してしまった。先輩はそんなあたしを見てフフッと笑う。


「ほんとだよ。ビックリした?」


「は、はい! めちゃくちゃビックリしました!」


だってだって、イジメられっ子って、ぜんぜん先輩にふさわしくない言葉だもの!


いや、そもそもそんな言葉がふさわしい人なんて、この世に存在しないけど。


それにしたって、どう見ても先輩はイジメられる要素なんてひとつもない。なにしろパーフェクトな人間なんだから!


「先輩がイジメられてたなんて、とても信じられません。イジメられる理由なんてないのに」


当然の疑問を口にするあたしに、先輩はまたまた意外な答えを口にした。


「イジメの理由? 俺の顔が原因だよ。だから俺は自分の顔が大嫌いなんだ」


「……はあぁー!?」


あたしは口をパッカリ開いて大声を出した。
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