期間限定『ウソ恋ごっこ』

「でも、そんなの変だよね」


「え？」


勝手に満足しているあたしとは正反対に、先輩は妙に暗い目をして腕を組み、話し続けた。


「髪も、目も、肌の色も、俺自身はイジメられていた頃からなにも変わっちゃいない。なのに、この急激な変化はなんなわけ？」


なんなわけ？と聞かれても。


返答に困って黙り込むと、先輩は憑かれたように語り続ける。


「俺は自分の中に流れる血や、外見のせいで散々周りから拒絶されていたのに。今度はそれが賞賛されるって、どういうこと？」


「え、えーっと。それは……」


「結局さ、みんなにとっての俺ってなに？　俺自身の価値って、意味って、なに？」


ものすごく真剣な声を聞いて、あたしも真剣に考え込んでしまった。