高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
西口くんの後を追うようについたところは、階段の踊り場だった。

「それで、落とし物って言うのは…?」

私が話を切り出したら、
「これです、落としましたでしょう?」

西口くんはスーツのポケットから取り出して、私に差し出した。

「なっ、ぎゃっ…!?」

「ああ、そっちが本性なんですか?」

それを見て動揺している私に、西口くんは言った。

西口くんの手にあったのは、ポイントカードだった。

なっ、何で私のカードを西口くんが持ってるの!?

いろいろと聞きたいことがあるけれど、まずは何を聞けばいいのかわからない。

「何度も呼びかけても答えてくれませんでしたし、それどころか早く帰っちゃったし」

そう言った西口くんに、私は気づいた。

もしかして…私がぶつかった人って、西口くんだったの?
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