高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
まさかの事実に、私は固まった。

ウソでしょ?

何のドッキリなの?

ぶつかった人が会社の部下でしたって、どこの少女マンガですか?

と言うか、こんなことってあるんですね。

躰は固まっているけど、頭は動いているのは不思議だ…って、どうでもいい!

問題はそこじゃない!

「そ、そ、そ…それは、その…あ、えっと…」

ヤバい、上手にしゃべれない…。

「あ、あ、あ…」

カオナシか、私は。

落ち着け、落ち着くんだ、会社モードの私を思い出すんだ!

「ごめんなさい、無視したって言う訳じゃないんです。

私も急いでたから、つい…」

よし、会社モードの私が出てきたぞ。

「だから、ごめんなさい。

ポイントカードを拾ってくれたうえに届けにきてくれてありがとうございました」

そう言って西口くんの手からポイントカードを受け取ろうとした。
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