高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない

２＊俺で練習をしませんか？

その日の仕事を切りあげると、私は逃げるように会社を後にした。

自宅に入ると、
「終わった…」

その場に崩れ落ちて、両手で頭を抱えた。

私の裏の顔が後輩に知られてしまった。

コミュニケーション能力虫けら以下のダメ女だと言うことをよりにもよって、西口くんに知られてしまった。

「どうしよう…ああ、どうしよう…どうしよう…」

どこの俳句を盗作したと思いながら、私はこれから西口くんとどうつきあっていけばいいのかと悩んだ。

私のことを知りたいとか関わりたいって、何を言っているんだ。

西口くんって、ジョーダンを言うタイプじゃなかったよね？

「ああ、全部が夢だったらどんなに楽なことなのやら…」

私は今日で何回目かのため息をついた。

生きた心地がしないとは、まさにこう言うことを指差すんだと思った。