高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
その日の昼休み。

「接待、ですか…?」

部長に小会議室に呼び出された私は聞き返した。

「来週の接待の席に、『カサブランカ』の営業担当の方がどうしても君にって指名をしてきたんだ」

部長はそう言った。

「は、はあ…」

無理に決まってます!

コミュニケーション能力マイナスの女に接待なんてハードルが高過ぎます!

接待は何度かしているとは言え、やっぱりなれないものはなれない。

とは言え、これも仕事である。

「わかりました、来週ですね」

私が返事をすると、
「助かるよ、さすが女神だ」

部長は嬉しそうに笑いながら返事をした。

ああ、もう何なのだろうか?

後輩に裏の顔が知られてしまったうえに追いかけられて、大嫌いな接待もやることになってしまった…。

私、死神か何かに憑かれているのだろうか?
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