高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
やっと接待が終わったのは、10時を過ぎたところだった。

店を出た頃には、私の疲れはピークに達していた。

ああ、これでもう帰れるわ…。

そう思っていたのに、
「この後は例の店でゆっくりとどうですか?」

田原さんはそんなことを言ってきた。

まだ飲むんですか!?

と言うか、まだ行くんですか!?

「いいですな」

部長はのん気に笑いながら返事をした。

「えっ、あっ…」

私、もうこの辺で帰りたいんですけど…。

次へとすでに向かおうとしている彼らにオロオロしていたら、
「あっ、いたいた!」

その声が私たちの間に入ってきた。

「あれ、西口じゃないか?」

部長がその人の顔を見て首を傾げた。

えっ、西口くん?

私たちの間に入ってきたのは、西口くんだった。
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