高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない

そんなことを思っていたら、
「…もういいでしょう」

西口くんはそう言って私の手を離した。

「あ、あの…」

「はい？」

「高崎さんから電話があったって…」

「ああ、ウソですから」

西口くんは言った。

「えっ！？」

ウソって、何で！？

確かにおかしいとは思ったよ！

そんなことをしたっけって疑問に感じてたよ！

「田原さん、暑苦しいうえに話が長いでしょ？

あんまりいい話を聞かないんで、花沢さんが大変だろうなと思って」

「え、ええ…」

確かに、大変な思いをしていました。

「それで高崎さんから電話があったとウソをついたんですか？」

そう聞いた私に、
「その方が部長も花沢さんを解放してくれるかなと思ったんで」

西口くんはペロリといたずらっ子のように舌を出してエヘヘと笑った。

＊ ＊ ＊