高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
そして、現在に至る――と言う訳である。

「花沢さん、顔が紅いですよ?」

回想に耽っていたら、西口くんの顔が近づいてきた。

「えっ、わっ…!?」

驚いて下がったら、西口くんの手が伸びてきて私の頬をさわった。

「熱いな…」

西口くんは頬の温度を確かめた後、手を離した。

「だいぶ飲まされましたね」

そう言った西口くんに、
「それはもう…」

私は返事をした。

「ちゃんとセーブをするところなんだけど、今回ばかりは逃げられなかったと言うか…」

私は、何の話をしようとしているのだろうか?

「私、本当に営業に向いてないなって思うんですよ。

本当は事務の仕事を希望していたのに、配属されたのは営業の仕事で…もう、会社は何を考えてるんでしょうね」

酔っているせいか、口が勝手に動いてしまった。
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