高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
キレイな手をしているなと、西口くんの手を見ながら私は思った。

指は細くて長くて、爪は短くて丁寧に形が整えられている。

手入れされているんだなと思いながら、私は彼のその手に見とれてしまった。

「蜜実さん?」

西口くんに声をかけられて、私はハッと我に返った。

「な、何で…いや、何?」

西口くんはフッと笑うと、
「少しずつでいいですよ」
と、言った。

「えっ?」

「慌てなくていいですから。

少しずつでいいですから、俺と練習をしてくたださい」

そう言った西口くんに、
「…敬語が出てるよ」

私は言った。

「えっ…あっ、しまった!」

うっかりと言うように手で口を隠すようにしておおった西口くんに、私を笑った。
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