高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
舞いあがっていたのかも知れない。

初めて話ができたことに、初めて一緒に出かけることができたことに、私は舞いあがっていただけなのかも知れない。

私たちは同じ会社の同じ部署に勤務している先輩と後輩だ。

コミュニケーション能力はゼロでメイクやスーツを使って仮面を作って“仕事がデキる女”のふりをして、それで“高嶺の花”だとか“敏腕女神”だなんて勝手なイメージで周りに尊敬されている私とは違って、西口くんは本当にデキる人だ。

社長の甥っ子と家柄もよくて、容姿もよくて、コミュニケーション能力も高くて仕事ができる。

でもそれらのことを鼻にかけていなくて、誰とでも仲良くなれる心優しい性格をしている。

そんな西口くんと仲良くなったことに、私は舞いあがっていたのかも知れない。
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