高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない

６＊独り言は残業の後で

西口くんを避け続けること、今日で１８日目を迎えた。

「花沢さん、西口さんと何かあったんですか？」

トイレで木佐さんと一緒になり、彼女からそう聞かれた。

「何もないけど、どうして？」

女の勘と言うヤツだろうか？

鋭いなと思いながら、私は聞き返した。

「何か、すごくよそよそしい感じがすると言うか…。

特に仲がよかったって言う訳じゃないけど、花沢さんと西口さんの間に流れてる空気が尋常じゃないと言うか…」

「そ、そうでしょうか…」

「まあ、気のせいかなと思いますけど。

何かあったなら少しくらいは話しあった方がいいと思いますよ」

木佐さんは手を洗うと、ハンカチで濡れた手を拭いた。

ササッと手ぐしで髪を整えた彼女はわたしの前から立ち去ったのだった。