高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「まさかバレてるとか…?」

いや、彼女の勘がすごいだけとか…?

木佐さんを敵に回さないと、私は心の底から誓った。

でも、
「あったんだよな、これが…」

西口くんのあの噂は、思った以上に私を苦しめた。

彼女ができるのは当然のことだ。

つきあっている人がいるなら、何だと言うんだ。

西口くんはあくまでも私の練習につきあっているだけだ、それ以上でもそれ以下でもない。

私が勝手に西口くんに恋をしただけで…相手はそんな感情を抱いていないだろう。

「気持ち悪いな、私…」

練習相手の男に恋をするなんて、何をやっているんだろうとツッコミを入れたくなった。

「仕事に戻ろう…」

今の自分がやることは、それである。

そう自分に言い聞かせると、私はトイレを後にした。
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