高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
会社では“営業の敏腕女神”と称されている私の素顔は、コミュニケーション能力ゼロのダメ女だ。

物心ついた時から人と話すことが嫌いで、人前に立つと緊張して頭が真っ白になってしまうのだ。

昔からそんな性格だから親しい友達はもちろんのこと、彼氏もいない。

それどころか友達はいたこともなければ、つきあった男もいないと言う訳だ。

休日は昼近くまで寝て洗濯と掃除を済ませたらコンビニに行ってお酒とおつまみを買って、TSUTAYAに行って映画や古いドラマのDVDをレンタルして、それを見ながらお酒を飲むと言うのが定番だ。

一緒に遊びに行く友達もいないし、デートに出かける彼氏もいない。

その日もTSUTAYAに足を踏み入れると、古いドラマが並んでいる棚へと足を向かわせた。

「えーっと、『晴天白書』は…」

探しているドラマのタイトルを呟きながら、DVDを探した。
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