あなどれないね、世唯くん。
ぜったい楽しんでる。
ふふっと笑いながら、これから展開がどうなるか期待しているに違いない。
そしておそらく、わたしが世唯くんではなく藍野くんを選ぶことを望んでいると思う。
「いいじゃんいいじゃん藍野!もっと押せ押せ〜!急に積極的になってきたね〜!本性隠してたってやつか〜?」
今は休み時間で、たまたま藍野くんも世唯くんも隣にいないのでそれだけが救い。
こんな会話、どちらにも聞かれたくない。
「藍野くんって想像してるより腹黒そうな気がする……」
なんだろう、なんかこちらの考えてることはお見通しで、わたしが知られたくないお昼休みのことをうまく使って軽く脅してきてるっていうか。
あと、めちゃくちゃ強引。
「糸羽から見たら藍野は腹黒か〜。わたしから見たら好青年に見えるけどね」
今の話聞いてなんで好青年って結論に至るの…。
「わたしは嫌いじゃないぞ、藍野真尋!」
「もう……」