あなどれないね、世唯くん。



寿々とこんな会話をしていたら、教卓のほうから生物の先生である藤村先生と目が合った。

うわ、最悪……。

あわててパッと目線をそらしたけど、ときすでに遅し。


「おーい、花町!ちょっときてくれるか?」

はぁぁ……やっぱり呼ばれると思った。
何やら頼みごとをしたさそうに教室を見渡していたから、目が合ったが最後。


「な、なんですか」

「いやー、さっきの授業で回収したノートなんだけどな?これを生物室まで運んどいてくれんか?先生いまからちょっと用事があってな?」


クラス全員分のノート。
ざっと見て30冊以上は確実にある。

いや、これをわたし1人で持てと?
そんな無茶なこと言わないでよ先生。

わたしこれでも女の子なんですけども。


「1人で大変かもしれんが、そこらへんにいる力持ちな男子でも捕まえて運んでくれんか!」


それなら、最初からそこらへんにいる力持ちな男子ってやつに頼んでよ…と心の中で思う。

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