あなどれないね、世唯くん。
「それ、1人で運んでんの?」
「うっ…そうです。藤村先生に頼まれちゃって」
「あー、生物の藤村かー。あいついつもノート回収してから自分で運ぶの面倒いから生徒に運ばせてんだよな」
なんて言いながら、ノートの山から半分以上取って持ってくれる藍野くん。
「えっ、あっいいよ。わたし自分で運ぶから」
「何言ってんの。こんな重いの花町1人じゃ運ぶの無理だろ?」
「そ、それは……」
「こういうときは男を頼ればいいって覚えておくこと」
「うっ…」
結局、ノートのほとんどを藍野くんが持ってくれて、わたしの手元にあるのは数冊。
生物室があるのは1階のフロアなので、今3階のフロアにいるので階段を降りなくては行けない。
2人で廊下を並び歩く。
正直…めちゃくちゃ気まずい。
だって、この前の放課後あんなことがあって逃げ出した挙句、それから教室ではほとんど口をきかなかったし。