あなどれないね、世唯くん。



え、あれはその場だけじゃなかったの?
まさかこれから先ずっとって意味だったの?


「いや……え、藍野くんは藍野くんかな…と」

「へー、ひどいこと言うんだなー?だったらこのノート1人で持って行くしかないな」


「うえっ、ちょっ…!!」

さっきまで紳士だったのに、突然自分が持っていた分をわたしの手にボンッと乗せてきた。


うっ、一気に重くなったせいで身体が前かがみになって倒れそうになる。


「あーあ、可哀想に。ノート重いだろ?」


ほら…やっぱり藍野くんってぜったい腹黒いよ。

人が大変な思いしてるっていうのに、笑いながら手を貸さずに見てるんだもん。


「真尋くん助けてって可愛くねだってくれたら、助けてやらなくもないけど?」

「ぬぅ……」


いま確実に藍野くんを頼らなかったらノートを床にぶちまけてしまう。

背に腹はかえられぬ…!


「ま、真尋……くん、助けてください……っ」

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