あなどれないね、世唯くん。
「……うわっ!!」
やってしまった。
階段を1段踏み外してしまい、バランスを崩した。
「おいっ、花町!」
藍野くんの焦った声が聞こえて手が伸びてきたけど、残念ながらその手が間に合うことはなく。
身体が一瞬の浮遊感に襲われる。
手に持っていたノートは見事にわたしの手から離れて、宙を舞う。
わたしの身体も同じように宙に浮いて、まるでスローモーションのように落ちていく。
もうダメだって思いギュッと目をつぶり、重力に逆らえず身体が落ちていった。
地面に足をつき、同時にドサっと音がする。
けれど、身体はそんなに痛くない。
本来なら結構な高さから落ちたので、無傷ではすまないはずだったのに……。
「はぁ……あぶな」
「っ、」
下に偶然……本当に偶然
━━━━世唯くんがいた。