あなどれないね、世唯くん。
世唯くんの胸に飛び込んだかたちなので、世唯くんが身体のバランスを崩して倒れた。
だけど、けっしてわたしがケガをしないように守るように、大きな身体でしっかり包み込んでくれた。
「あ……っ」
突然の出来事にびっくりして声が出ない。
「……何してんの、いきなり上から落ちてくるとか」
呆れた声で世唯くんが言った。
言葉は少し冷たく感じるけれど、抱きしめ方はとても優しい。
「俺がいなかったら危なかったよ」
「う……ん、ありがとう……」
こうして2人で触れ合っていると、まるで今この空間にはわたしたちしかいないような……そんな錯覚に陥りそうになる。
けど、それはすぐに現実に引き戻される。
「花町!!大丈夫か!?」
真尋くんの声にハッとした。
すぐに心配そうに声を上げて、階段を降りてわたしの元へ来た。
「あ…、大丈夫だよ。世唯くんが助けてくれたから」
「そっか。ごめん、俺がそばにいたのに」