あなどれないね、世唯くん。



本当に申し訳なかったって顔をしてる真尋くん。
別に真尋くんは悪くないのに。
ただのわたしの不注意だったから。


「ま、真尋くんは悪くないよ」

それに、わたしを助けようと手を伸ばしてくれたから。

「いや、でも……」

「大丈夫だよ…!」


いつまでもこうしてるわけにはいかない。
散らばったノートを真尋くんが拾ってくれた。


「じゃ、じゃあ世唯くん助けてくれてありがとう」

そう言って立ち上がろうとしたとき。
ズキっと足首が痛んだ。


きっと落ちたときに地面に足をついて、ひねったっぽい。

痛さで思わず顔が歪む。


「花町?大丈夫か?」

「あ、…足首ひねったみたいで」

立ちにくいわたしに、真尋くんがそっと手を差し伸べてくれたのでその手を借りる。


「1人で歩けるか?」

「うん、なんとか」


手を貸してもらわないと厳しいし、歩くとき足を引きずってしまいそう。

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