あなどれないね、世唯くん。



恋する瞬間……って、どんなものなんだろう。

きっと、今までに感じたことないものがあるんだろうな…なんて、そんなものが芽生えるのはわたしには程遠いものだと思った。


「はーい、じゃあ補習始めるわね〜」


そんなことを考えていたら、担任の先生である篠原先生が高い声で張り切って教室に入ってきた。


……どうやら補習はわたし1人っぽい。


そりゃそっか。
ふだん頑張らない子たちも夏休みの補習なんてごめんだろうから、必死に頑張ったんだろうなぁ。


もっと頑張ればよかった…なんて今さら後悔をしていると


「実はね、今回の補習なんだけど、あなたを教える先生としてもう1人呼んでるの」


「へ……?センセイ?」


教えるのは篠原先生じゃないの?


「まあ、本当のところは補習参加者なんだけどね。テストを受けていないの。けど彼、テストきちんと受けたら学年1位だから」


彼……とは、どうやら男の子が来るのか。

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