あなどれないね、世唯くん。
「すごい人だね〜。
これだけ人多くて、広いと迷子になっちゃいそう」
加奈ちゃんはこの前会ったときと同じで白のセーラー服に薄いピンクのカーディガンを羽織っていた。
てっきり休みの日だから私服で来るのかと思いきや、制服姿だったのでなぜか聞いてみた。
「あっ、今日じつは午前だけ特別に授業があったの。それでそのままここに来ちゃったから」
「な、なるほど」
さすが進学校……。
土曜日なのに授業あったりするんだ。
「制服姿だと変かなぁ」
「そんなことないよ。わたしたちの学校の在校生も制服の子ちらほらいるし」
今日は文化祭ということで、規則はかなり緩いのでいろんな格好をしてる子がいるけど、なかには普通に制服着てる子もいるし。
わたしも今制服だし。
まあ、だいたいの子が着崩してるけど。
「そっか。じゃあいいかな。
糸羽ちゃんも制服だし」
こうして加奈ちゃんを案内するため、いったん校舎の中に入ることにした。