あなどれないね、世唯くん。
2人が目を合わせた瞬間……消えてしまいたいと思った。
だって、今まるでここには2人しかいないような、そんな目でお互いを見ているから。
嫌な予感が何もかも見事に的中した。
世唯くんの忘れられない人も、
加奈ちゃんがここに知り合いがいるというのも、
ぜんぶわたしが思っていたとおり……。
やっぱり2人は過去に何か繋がりがあったんだ。
認めたくない、この光景は夢であってほしいと願うばかりなのに。
目の前に映る2人と、
耳元に響くくらい音を立てる心臓の音が、
これは現実なんだってことを突きつけてくるような気がして、周りの音が何も耳に入ってこなくなった。
もうこれ以上、この2人を見たくないと思って視線をそらしたいのに、そらせない。
一点に集中して固まったまま動けない。
そして、合いたくない視線がバチっと絡んだ。
「……いと、ケガしてるの?」