あなどれないね、世唯くん。



2人が目を合わせた瞬間……消えてしまいたいと思った。


だって、今まるでここには2人しかいないような、そんな目でお互いを見ているから。


嫌な予感が何もかも見事に的中した。


世唯くんの忘れられない人も、

加奈ちゃんがここに知り合いがいるというのも、


ぜんぶわたしが思っていたとおり……。

やっぱり2人は過去に何か繋がりがあったんだ。


認めたくない、この光景は夢であってほしいと願うばかりなのに。


目の前に映る2人と、

耳元に響くくらい音を立てる心臓の音が、


これは現実なんだってことを突きつけてくるような気がして、周りの音が何も耳に入ってこなくなった。


もうこれ以上、この2人を見たくないと思って視線をそらしたいのに、そらせない。

一点に集中して固まったまま動けない。


そして、合いたくない視線がバチっと絡んだ。


「……いと、ケガしてるの?」

< 149 / 339 >

この作品をシェア

pagetop