あなどれないね、世唯くん。



***


「……ん」


だるくて、重たい身体。

ゆっくりまぶたを開けてみれば、夕方になっていた。


どうやら、床に座ったまま壁にもたれて寝てしまったみたい。


あれから、加奈ちゃんに2人っきりになりたいと言われ、ダメだと言える理由なんかなかったので、処置をして2人を残して保健室を出た。


行き場のなかったわたしは、とても文化祭の気分に戻れなくて、空き教室にふらっと足を運んだ。

ただ、わけもなく泣けてきた。


泣きたいなんて気持ちはないはずなのに、こぼれる涙は止まることを知らない。


泣きすぎたせいで、そのまま疲れて1人で眠ってしまった。

せっかくの文化祭だっていうのに、楽しむどころか最悪な思い出になった。


手探りでスカートのポケットからスマホを出して、ぼんやり画面を眺める。


『糸羽〜〜、今どこにいるの?
このあと打ち上げあるけど、どーする?』

30分前くらいに届いていた、寿々からのメッセージ。

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