あなどれないね、世唯くん。



「んで、お前は床に座って
こんなとこで1人で何してたわけ?」


わたしの目の前に立ち、そのまましゃがみ込んで目線を合わせて聞いてきた。


「べ、別に……何もない…よ」

不自然に顔をそらすと、それを阻止するように真尋くんがわたしの顎をつかんで、無理やり目線を合わせてくる。


「ふーん。
何もないって言う割に、すげー顔してるけど」

「す、すげー顔とは……?」


「泣いたあとって感じ。
いつもの花町の顔となんか違う」


なんでわかるの……?
そんなにわかりやすく出てるのかな…。


「な、何も変わらないよ……」

無理して笑顔を作ってみるけど、
そんなの真尋くんには通じなくて。


「嘘つくな。
つらいなら無理して笑わなくていい」


嘘をついてもお見通し。
だけど、どうしてわたしがつらいってわかるの……?無理してるってわかるの?


真尋くんが特殊なの?
普通だったら気づかなさそうなのに。

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