あなどれないね、世唯くん。



「真尋くんは……クラスメイトとしてはすごく好きだよ。男の子の中で話しやすいし」


「だからー、クラスメイトとしてじゃなくて男として見るの!千景を見てるみたいな感じでさ〜」


「それは……無理だよ」

きっと、どれだけ頑張って他に目を向けようと思っても、わたしの気持ちは世唯くんからブレることはないような気がする。


この前突きつけられたはずなのに……。
世唯くんの気持ちが、ますます手に入らないことを。


文化祭の日以来、世唯くんとはひと言も会話をしていない。

席が隣だって、話すことなんてない。
お昼休みだって、もう会いにも行けない。


会いに行ったところで、何もできない。
自分が傷ついて、虚しくなるだけ。


本当は、世唯くんに聞きたいことがたくさんある。

忘れられない人は加奈ちゃんのか。

2人の過去に何があったのか。

今、2人の関係はどうなってるのか。


でもそんなこと、ただのクラスメイトでそれ以上でもそれ以下でもない立場のわたしが聞けるわけない。

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