あなどれないね、世唯くん。
「あっ、えっと……」
とりあえず何か話して、沈黙が続かないようにしようとしたら。
「……机」
「え?」
「くっつけたほうがよさそう」
思わぬ提案にポカーンとしている間に、千景くんが机を軽く持ち上げて、わたしの机にピタッとくっつけた。
さっきまでかなり離れていたように感じていた千景くんとの距離が一気に縮まったような気がする。
……机をくっつけたこどきで、こんなことを思うのはわたしが男の子に慣れていないから。
何事もなかったかのように、千景くんはストンッと席に着いたけれど、お互いの肩がぶつかるくらいの近さにびっくりして、思わず身体ごと横にずれた。
緊張からか、肩にも力が入る。
「……緊張する?」
千景くんの、落ち着いた声音が空気を揺らした。
「あっ、やっ……えっと……」
さっきからあたふたしてばっかりだし、まともに目も合わせられない。