あなどれないね、世唯くん。



すると、フッと笑ったような声が聞こえて。


千景くんの綺麗な指先が、そっとわたしの髪をすくい上げて耳にかけてきた。


「ひぇ……っ」


いきなりのことにびっくりして、思わず隣にいる千景くんの顔を見た。

そして、クスッと笑いながら。


「……やっとちゃんと目合ったね」



真っ黒な髪から垣間見える、同じくらい真っ黒の瞳にがっちり捕らえられると、吸い込まれそうになる。

どこか危険で、
囚われたら逃げられないような━━━。



「そんな緊張しないで。俺そんな怖がることしないのに」


……なんて言いながら、大きな手のひらがわたしの頬を包み込む。


ただ触れているだけかと思えば、親指が少し動いて、頬を優しくなぞってくる。


「あ、あの……っ、離して……」


目を合わせないように、横に泳がす。

だけど。


「なんで?じゃあ俺の目、ちゃんと見てよ」

「っ、」

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