あなどれないね、世唯くん。
不穏と、気持ちの行方。
あれから数週間が過ぎて11月に入った。
世唯くんの家に泊まった日……これを最後に、世唯くんと話すことも一切なくなった。
もともと加奈ちゃんと文化祭で会った頃から、ギクシャクしてはいたけど……。
「はぁ……」
「はい、今日これでため息10回目」
いつもお昼休みは、教室でお昼を食べることはほとんどなかったのに、今では寿々と2人で食べるようになった。
「ったく、いつまで千景のこと引きずってるの」
「だって……」
「だってじゃない。いい加減やめときなって。糸羽は千景に深入りしすぎ。だから抜け出せなくなってるじゃん」
「うぬ……」
「だいたい千景もおかしいの。糸羽と恋人みたいなことするくせに、過去のこと聞いたらカンケーないってどんだけ自分勝手な男なわけ?」
まさに寿々の言う通りなんだけども……。
「もうあんな男さっさと忘れて、つぎつぎ!
藍野真尋にすべきなんだって」