あなどれないね、世唯くん。



見覚えのある後ろ姿が、すでにカウンター席に座っていてドキリとした。


「あ……っ」

まさかここにいるなんて予想もしてなかった。
思わず手に持っていたトレイを落としそうになったので、グッと手に力を込める。


「わぁ、久しぶり〜!偶然だねっ」


ニコッと笑いながら、
わたしを見る━━━━━━加奈ちゃん。


なんでこうもタイミングが悪いの……。
今いちばん会いたくない……話したくない相手と、偶然にも会ってしまうなんて。


自分の運のなさを恨みたくなる。


「ひ、久しぶり……だね」

わたし上手く表情作れてるのかな……?
不自然に笑顔引きつってない……かな。


「糸羽ちゃんもしかして今1人?」

「うん……」


「わたしもね、今ちょうど1人だったの!
もうすぐ期末テストがあるから、家だと集中できないからここで勉強しようと思って」


まったく同じ考えでここに来て、こうして顔を合わせることになるなんて……。

やっぱり、神さまはとてもイジワルだ。

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