あなどれないね、世唯くん。
「よかったら隣空いてるから一緒に勉強しない?」
「あ……、えっと……」
「もしかして、あとから誰か来たりするのかな?」
あぁ……ほんとついてない。
今さらここから逃げ出すわけにもいかないし、別に誰とも約束していないので
必然的に加奈ちゃんの提案に乗るしかない。
「う、ううん。特に誰も来ないよ」
「そっか!じゃあ、ここ座って?」
広げていた教科書をささっと退かしてくれたので、そこに持ってきたトレイをテーブルに置きイスに座る。
なんともいえない複雑な状況……。
ただでさえ勉強が嫌いで集中できないのに、それに加えて加奈ちゃんも一緒だなんて。
とりあえずボケッと座っているのも不自然なので、カバンの中から適当に教材を取り出す。
……正直、勉強どころじゃない。
頭の中は、すべて2人の関係……過去のことが気になって仕方ない。
「あっ、そうそうこの前はありがとう!」
"この前"という言葉に異常にドキッとした。