あなどれないね、世唯くん。



「う、ううん……。
楽しめた……かな?」


わたしが案内したのはほんの少しだけ。

保健室で……世唯くんに会ってから2人が何をしていたのかなんてわたしが知る由もない。


「うん、すごく楽しかったよ〜!
ごめんね、途中から……その……」


気まずさから言いにくいのか、濁すように話すけど、何が言いたいのかはよくわかる。


「大丈夫だよ……!
わたしもあのあと別の子と文化祭回ってたから」


精いっぱい……いま自分が振る舞うことができる笑顔と話し方で頑張ったつもり。

お願いだから、何も勘付かないでほしいし、世唯くんのことを口にしないでほしい。


このまま、この会話の流れが終わってしまえばいいと思うばかり。



「別の子って━━もしかして彼氏……とか?」


何かを探ってるのか……それとも、純粋に興味だけで聞いてきたのか……。

加奈ちゃんのことを疑いの目でしか見れないわたしは本当に最低だ。

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