あなどれないね、世唯くん。
きっとこの関係は、周りから見たら内緒でバレてはいけないもの。
「もちろんね、ダメだってことはわかってたし、周りには内緒だし。
わたしまだそのときは先生から見たら子どもで。不安が尽きなくて、でも好きだからそばにいたくて……」
加奈ちゃんの表情から痛いほど伝わってくる。
きっと、とても好きな相手だったんだと。
「……本当は学校で2人っきりになることもダメだって決めてたのに。
でも、わたしがわがまま言って、教室で先生と抱き合っちゃって……。誰もいない放課後だったから大丈夫だって思って」
さらに話を続ける。
「……そのとき、千景くんに見られたの。
先生は気づいてなかったけど、千景くんが廊下のほうから見てて、目があったから……。
それで、もう先生との関係は続けられない……、明日には千景くんがこの件を誰かに話したりしていたら、先生の立場ですら危ういと思って……。
わたしの軽率な行動のせいで」