あなどれないね、世唯くん。



なんだか、なんて言葉を返したらいいのか、相づちすらまともに打てずただ黙って聞くことしかできない。


「でも……千景くんは誰にも、何も言わなかった。
もちろん、わたしに問い詰めてきたりすることもなくて……。

それで、思い切ってわたしから聞いたの……。どうして誰にも言わなかったのかって」


「……」


「そうしたらね、別に他人の恋愛についてとやかく言うつもりないって。

それに恋愛なんて立場とかカンケーなく自由にすればいいじゃんって言ってくれて」


そこから加奈ちゃんと世唯くんは少しずつ話すようになったりしたそう。

加奈ちゃんがたまに先生とのことを世唯くんに相談したりすることもあったり……。


世唯くんは嫌な顔ひとつせず、話をずっと聞いてくれたらしく、そして先生との関係も続いていたそう。


でも……大人である先生と、大人から見たら子どもに見える中学生の恋愛。


続いていたはずの関係はある日、急に終わりを告げて加奈ちゃんは先生と別れたそう……。

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