あなどれないね、世唯くん。



きっと、加奈ちゃんの相談に乗ってるうちに、守ってあげたくなったんじゃないかと思った。


だって、先生との恋愛なんて明るい未来はほぼ見えないものだろうから。


ずっとそばで加奈ちゃんの話を聞いて、次第に世唯くんは加奈ちゃんに惹かれたんじゃないかと……。


「最初ね、そんなことできないって言ったの。
千景くんのこと利用するみたいになっちゃうからって。

でも、それでもいいからわたしのそばにいたいって言ってくれて……」


世唯くんも……手の届かない存在に手を伸ばして。

想い人が、自分じゃない人を見ていたってそれでもいいからそばにいたいと……そう思ったんだ。


「結局、わたしが先生を忘れられなくて、千景くんとは付き合ったわけじゃないけど……。

でも、わたしがさびしいときとか、泣いてるとき、呼んだらいつも千景くんはそばにいてくれた」


知りたくなかった現実。
世唯くんにそんな想われてるなんて、羨ましいにも程がある。

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