あなどれないね、世唯くん。
「それでね……わたしびっくりしちゃった。
世唯くんと2人っきりにしてもらってから、いろいろ話したの。
そのとき……世唯くんの気持ちがいま誰にあるのか、探ってみたの」
嫌な予感しかしなくて、
ゆっくり加奈ちゃんの顔を見ると、可愛らしい笑顔を崩していなかった。
その可愛さはまるで、余裕を表すかのように。
「世唯くんってば、あからさまだからすぐわかっちゃって」
こんなこと、聞かなくたって結果はわかってる。
だったら聞きたくもないし、さっきから胸が苦しくて苦しくて仕方ない。
「知りたくない?」
「っ……、」
耳を塞ぎたくなる。
「今ね、世唯くんは━━━━━━」
その先の言葉を遮るように、ガタンっと音を立てた。
今この音はわたしが立ち上がって、テーブルに手をついたせいで鳴った。