あなどれないね、世唯くん。



***


「なんもない部屋だけど。
テキトーに座って。お茶くらいしか出せないけど」


部屋の広さは1人で暮らすのにちょうどいいくらい。

家具は必要最低限のもののみ。


とりあえず、ずっと立っているのもあれなのでベッドを背もたれにして、近くの床に座らせてもらった。


そして目の前のテーブルにガラスのカップに入ったお茶が置かれた。

そのまま、真尋くんがわたしの隣に腰掛けた。


「とりあえず落ち着いたか?」

さっきまで止まらなかった涙は、真尋くんが現れたことへの驚きのほうが勝ってしまって止まっていた。


でも、気持ち的には全くと言っていいほど落ち着いていない。


さっきから、加奈ちゃんの言葉が何度も頭の中をループしてる。

気が緩んだら、それこそまた泣いてしまいそう。


「ご、ごめんね……」

「……謝んなくていいし」


なんだか、真尋くんにはいつも弱いところ、泣いてるところを見られてばかり。

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