あなどれないね、世唯くん。
「……なんか俺、最近花町がいつも泣いてるところによく遭遇するよな」
偶然にも真尋くんも同じことを思っていたっぽい。
「ごめんなさい……。
いつも弱いところばかり見せちゃって……」
気まずくなって下を向けば、
何も言わずに、真尋くんがわたしとの距離を少し詰めてきた。
そして、床に置いていた手の上に、手を重ねてきた。
「……いいじゃん。
花町の弱いところとか、見せるのは俺だけで」
この言葉にどういう意図があるのか、
わたしにはわからない。
"俺だけ"なんて、そんなこと聞いたら特別みたいに誤解する子だっているのに。
「それって……どういう意味……なの?」
ストレートに聞いてみた。
きっと、そんなはっきりした答えが返ってくるのは思ってもいなかったから……。
「特別……」
ほら、そんなこと言って……。
「好きだから……特別」