あなどれないね、世唯くん。



解き方のコツを教えてもらって、少しずつだけど解ける問題が増えてきた。


黙々とプリントに向かっていると、
いきなり手の甲に千景くんの指先が触れてきた。


どこか答えが間違ってるから指摘してくれたのかと思って、チラッと目を向けると。


「……肌、白くて綺麗」


指先でツーッとなぞりながら、ピタッと動きを止めて、少しだけ爪を立てた。


いきなりのことに身体がピクッと跳ねる。


「これだけ白いと……紅く跡残したら綺麗だろうね」


意味はわからなかったけど、危険だって直感で思った。

だって、妖艶な笑みを浮かべながら、黒の瞳がしっかりとらえて離さないから。


「試したくなる……ね」


手の甲に触れていただけの手が、今度は首筋に伸びてきて優しくなぞってくる。


「あの……千景くん……?」


「ほんと……綺麗。
噛みつきたくなるくらい……ね」


……気のせいじゃなかった。


千景くんは、わたしが想像するより


とても危険な人なのかもしれない━━━━。

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